資源循環型社会を目指して

沖縄県の主幹第一次産業として、サトウキビの栽培があります。そしてそのサトウキビから、年間20万トン以上のバガス(サトウキビ廃材)が算出しています。肥料や飼料への活用も行われておりますが、まだまだ使い切るには難しい状況です。

また、コンクリートの材料となる砂を産出する山の資源にも限りはあります。それらの問題を解決する一つの手段として、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組むべく、2020年より琉球大学様とバガスのコンクリートへの混入について、共同研究を始めました。

バガス(サトウキビ廃材)の特性

バガスの特性として、植物性の有機物である事が挙げられます。「有機物なので経年で発酵・腐敗するのでは?」という疑問があります。発酵や腐敗については、必要な酸素等をセメントペーストで固める事で、ある程度シャットダウン出来ると考えられます。またセルロース等の糖分が含まれております。糖分はコンクリートの硬化を遅延させる効果がありますが、硬化後の強度には影響はほとんどありません。

繊維質の物性として「曲げ」・「引張」への耐性があります。コンクリートは「圧縮」には強いですが、「曲げ」・「引張」へは弱い特性があります。コンクリートへバガスを混入する事で、互いの弱点を補完できる可能性があります。

バガス入りプレキャストコンクリート製品

コンクリートへのバガス混入に関しては、未知数の要素が多く、まずは歩車道境界ブロックやインターロッキングブロックといった、小型のプレキャストコンクリート製品への活用を検討しています。これらの製品は道路表面上に使われるものです。バガスはコンクリートに比べて吸水性・保水性に優れた物性があり、バガスをコンクリートへ混入する事で、含水量の高いコンクリートが出来上がります。

含水量の高いコンクリートは、高温時にゆっくりと水分が蒸発され、その時に発生する気化熱効果により、周辺温度を下げる事ができます。近年の都市部へのヒートアイランド現象の対策へも一石を投じる事ができます。

  
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